ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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七.廻り逢い



「――痛っ……!」
 一条龍一は、突如として胸を襲った激痛に足を止めた。
 片手で胸を押さえ、苦痛に顔を歪ませる。
「どうした?」
 少し先を歩いていた榊茜が驚いたように振り返る。
「いや……何でもない。大丈夫だ。先へ進もう」
 龍一が無理して笑うと、茜は猜疑の眼差しを向けてきた。
 だが、彼は詮索の言葉を発さずに背を返し、再び歩き始める。
 二条繭羅が根城にしていると屋敷が目前に迫っているからだろう。
 屋敷に乗り込み、風巳と葵を救出すれば――茜との共同戦線は直ぐさま解かれるのだ。
 事が済めば敵同士に戻る。
 それが解っているから茜も必要以上に問い詰めることはしないのだ。
 今は、その無関心な素振りが有り難かった。
 ――風巳様……。
 龍一は心臓の辺りを押さえたまま茜の後を追った。
 ほんの一瞬だが心臓が大きく跳ね、ズキンッとした疼痛が生じた。
 全身の血が心臓目がけて突っ走ってきたような不可思議な感覚だった。
 ざわつく血潮。
 脳裏を巡るのは主人である三条風巳の姿だ。
 龍一が唯一己が血を与え、手塩にかけて育て、成長を見守ってきた風巳。
 体内の血が騒ぐのだとすれば、それは血を分けた風巳の身に何事か変調が起こった可能性が高い。
 ――もしかしたら……あの人が目醒めるのかもしれない。
 龍一は茜の肩越しに繭羅の屋敷を眺めた。
 繭羅に囚われた風巳に異変が起こっている。
 魔王の覚醒の刻が近いから、それに触発された可能性もある。
 ――風巳様が目醒める。
 何もかも――そう、前世の記憶が戻る。
 その時、あの人は気づくだろうか?
 歪められた運命の皮肉な末路に……。


     *


キリの良いところで……と思ったら短くなりました。スミマセンッ(汗)
 
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2010.01.26 / Top↑
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