ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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18.一件落着!?


「どいてっ! どいて、どいて、どいてよっっっっっ!!」
 疾風が髪を靡かせる。
 真央は大声を張り上げながら、物凄い形相で自転車のペダルを漕ぎ続けていた。
 始業ベルが鳴るまで、あと五分もない。
 この調子で進めばギリギリセーフというラインだ。
 だが、学園が近づくにつれ生徒の数が急激に増えたのだ。
 おかげで自転車の進み具合は思わしくない。
 寝坊した自分が明らかに悪いのだが、焦燥感が胸を占拠し、ついつい他人に当たってしまう。
 何とか生徒の間を擦り抜けて校門の一〇〇メートル手前まで辿り着いた時には、タイムリミットはあと一分――というところまで迫っていた。
 ――無遅刻・無欠席のあたしの輝ける学園ライフに、汚点なんてつけるもんかっ……!
 妙なプライドが心の奥底から込み上げてくる。
 真央は歯を食いしばり、ラストスパートをかけようと足に力を込めた。
「葉月さん!」
 だが、そんな時に限って誰かが背後から呼び止めるのだ。
 反射的に鋭く後ろを振り返って、真央はギョッとした。
「げっ、藤川っっっっ!?」
 視界に苦手な相手を認めてしまったからだ。
「今、あんたに構ってるヒマはないのっ! ――またねっ!」
 素っ気なく言葉を返し、真央は再び前方を睨めつけた。
 キッと前を見据え、意識を集中させようと試みる。
「待って、葉月さん! 冗談抜きで――僕とつき合わないっ!?」
 しかし、またしても諦め悪く藤川琉の声が追いかけてくるのだ。
「冗談じゃないわよっ! バッカじゃないのっ!? こんな朝のラッシュ時に迷惑なのよっっっっ!! あたし、あんたのコト――嫌いだって、はっきり言ったわよねっっ!!」
 いきなり何をぬかすんだ――と、真央は表情を厳しく引き締めた。
 琉には人間界におけるTPOというものが欠如しているらしい。
 ――後で楠葉くんによく言って聞かせないと……!
 チッと小さく舌打ちを鳴らし、真央は力強くペダルを漕いだ。
 今は、遅刻するかしないかの瀬戸際なのだ。
 藤川琉の相手などしている場合じゃない。
 なのに、執拗に琉はついてくる。
「好きなんだ、真央っっっ!!」
 とんでもない琉の叫びが耳をつんざき、真央は背筋に悪寒が走るのを禁じ得なかった。
 ――勝手に呼び捨てにしないでよぉぉっっ!!
 抗議するために憤然と首を後ろへねじ曲げる。
「――えっ!?」
 ガツッッ!
 と、不快な音がし、自転車の前輪が何かに躓いた。
 ハッとして視線をそちらへ戻すと、道路に大きな石――
 ――えっ……ちょっ……ヤダッッ!?
 恟然と目を瞠った時には、真央の身体はブワッと宙に浮き、不様に地に転げ落ちていた。

 キーンコーン、カーンコーン、キーンコーン、カーンコーン――

 遙か頭上で始業ベルが鳴り響く。
 思い切り仰向けに引っ繰り返った視線の先――朝の空は、抜けように青く澄み渡っていた。
 その清々しさがまた真央に我が身の不運さを痛感させた。
 
 今日のあたしは、ツイてない――



       《了》



改めまして、70000HITありがとうございます♪
……覚えている方はいらっしゃらないと思いますが、一応70000HIT記念の物語でした(笑)
そして、珍しく宣言通り20話以内に終わりました←
いつか《魔法の国》が舞台の物語も書きたいのですが……しばらく冬眠期間に入ることになると思います。
相変わらず不定期更新の上に妖しげな物語しかありませんが(汗)、
足を運んで下さる皆様に心より感謝申し上げます(*^▽^*)

 
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2010.11.14 / Top↑
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