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ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 溜息と悲鳴と歓声が飛び交う中、ルイさんはゆっくり螺旋階段を下ってくる。
 ルイさんの前にはモン様が歩いていて、時折ルイさんがその耳元に何事かを囁いては、二人で微笑を交わし合っていた。
 ――綺麗。
 燕尾服姿の二人を目の当たりにした瞬間の感想は、その一言に尽きる。
 モン様は漆黒のオーソドックスなものを着用しているけど、ルイさんは純白にシルバーをあしらった煌びやかなテールコートを纏ってるのよ!
 披露宴に出席する新郎かと思うくらい派手な装いなんだけど、異国めいた美貌の持ち主であるルイさんが着ると怖いくらい自然に見えるのよね。
 凄い。改めて言うのもなんですけど、ルイさんってホントのホントに美形だったのね!
 どこぞの貴族か王子様にしか見えないんですけど!!
 個人的には、ロングジャケットの襟元から覗く白絹のスカーフが物凄くエレガントで素敵だと思うわ!
 優雅なドレープを描く白絹――そのスカーフ留めに大きなサファイアが一粒使われているのもパッと目を引くわね。鮮やかなブルーがカラコンで彩られた双眸と絶妙にマッチしていて、ルイさんの玉容を際立たせているのよ!
 ルイさん贔屓じゃないあたしですら、もうホントに『凄い』『綺麗』『美しい』とかそんな賛辞しか思い浮かばない。
 二階フロアのお客様が騒然となったのも無理はないわね。
 久し振りに見るけれど、ルイさんの美貌は全然衰えてなくて――寧ろ以前より少し表情が和らいだ分だけ、色気が増したような気がするわ。
 ……やっぱり山梨くん効果なのかしら?
 ただ階段を降りてくるだけなのに、どうしてルイさんはあんなに華々しくて幻想的な魅力を放っているんだろう?
 流石は三年連続『ミスター聖華』の称号を授与され、《WALTZ》では入店以来不動のナンバーワンを維持し続けていた麗人だわ!


「ちょっ……ルイが超絶美人なんだけど!?」
 山梨くんが瞬きもせずにルイさんを見つめ、驚喜の声を洩らす。
「フフッ。一緒にいる時間が増えて見慣れたのかもしれないけれど、ルイルイは我がM市が誇る最高の美形男子よ!」
 ビッショウ様がまるで我が事のように勝ち誇った笑顔と口調で断言する。
 M市に棲息している女子って、基本的に美少年&美青年のコトがホントに大好きなのよね。
 生まれも育ちもM市であるルイさんに関しては、まるで自分の息子のような溺愛ぶりだ。
 ――って、《WALTZ》にハマッたあたしも紛れもなく美形に目がないM市の女だけど……。南海やビッショウ様のBL妄想趣味には同調できないけれど、六楼さんに惚れ込んだ以上は美形好きであることは否めないわね。
「ああ、ルイさん……! いつ観ても美しすぎるわ! 流石はわたしのイケナイ薔薇園のブルーローズ! 観る者を惹きつけて止まない類い稀な美貌! 艶やかな薔薇の中でも一際妖しく華麗に咲き誇る蒼き大輪! わたしの――永遠の夢!」
 南海が感激に潤んだ瞳で螺旋階段を見上げ、甲高い声で叫ぶ。
 まあ……内容はよく解らないけれど、南海流のルイさん賛美みたいね。
 南海の薔薇園でどれだけ多種多様な美形たちが育成されているのか知らないけれど、ルイさんが突出していることだけは同意できる……かな。
「制服じゃなくて燕尾服での登場も萌えポイントだわっ! あのスカーフを剥ぎ取って、目隠しとかしてみたり手首を戒めたりしてみたいじゃないっっ!!」
 興奮を隠しきれない様子で言葉を捲し立て、南海が無意識にティッシュを持つ片手を鼻に押し当てる。
 ――あ、また鼻血が出たのね、南海……。
 目はすっかりルイさんの虜だけど、さっきは噴いた鼻血が顔に舞い戻ってくるという惨事に見舞われたからちょっとは学習したらしい……。
 けど――何なの、その妄想!?
 あたしが素敵だと思ったスカーフで腐れた妄想を育まないでよっ!
 どうして同じモノを視てるのに、あたしと南海とでは感じ方がこんなに違うんだろう?
 スカーフ一つでこれほどの齟齬が生じるんて……。
 絶対におかしいわよ、南海! 女子高生の考えるコトじゃないわ!
「あー、やっぱスカーフはどう考えてもソレ用の小道具だよな。ルイ、あの格好で一日デートとかしてくんないかな? その流れで、もちろん夜は――――」
 ふと、耳に信じられない戯言が飛び込んで来たので、あたしは鋭い眼差しを南海から山梨くんへと移していた。
 何を想像したのか山梨くんは微かに頬を赤らめ、じっとルイさんを見つめている。
 おまえもか、山梨ッッッ!!
 ソレ、一体どんな流れなのよっ!?
 あんな目立つ格好でデートとか、絶対に有り得ないからね! バカじゃないの!
 誰か、お願いですからこの人たちにスカーフの正しい用途を小一時間かけてみっちり講義してあげて下さい。
 南海だけでじゃなく山梨くんまでヘンタイ妄想するなんて――ホント、サイッテー!
 それにしても南海と山梨くんって、ルイさんに関しては萌えポイントが怖いくらいに合致するわね。魂の双子――とか、そんなレベルだったら切実に嫌だわ……。
 ――ん? アレ……もしかして、この席にいる限り、多数決ではどう足掻いてもあたしに勝ち目はないってコト?
 あたしの思考の方がマイノリティで、おかしいってコト?
 ……ううん、そんなコトない。
 あたしは間違ってないわ!
 この人たちの妄想に惑わされたり、感化されてはダメよ、沙羅!

 あたしは一生涯ソッチ側の人間になる予定はないんだから!



今回は短め更新です……
本編超えましたけど、見逃して下さい(´∀`;A)

 
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2011.01.16 / Top↑
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