ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 授業課程を全てこなし、ホームルームが終了した直後、貴籐水柯は勢いよく席を立った。
 鞄を片手に樹里の席へと歩み寄る。
「たまには一緒に帰ろう」
 にこやかに樹里に声をかける。
 家までの道中、何とか話題を明日の誕生日へと巧く運べないものか、と考えたのだ。
 だが、その魂胆は樹里の冷徹な眼差しの前に呆気なく潰えた。
「イヤだね」
 机に頬杖をついたまま、樹里は如何にも面倒臭そうに水柯を見上げたのだ。
「いいじゃない。家、隣なんだから」
「イヤなものはイヤだね。――充、帰ろう」
 樹里は水柯を冷たく突き放しておいて、後ろの席の充を振り返った。
「わたしはダメでも充くんはいいわけ?」
「まあまあ、水柯ちゃん」
 頬を膨らませる水柯に、充が困ったように微笑む。
 彼は鞄を掴んで席を立つと、樹里に悪戯っぽい視線を投げた。
「悪いな。俺、これからデート」
「は? 彼女、海外旅行中って言ってなかったっけ? ……また女換えたのか」
 呆れと嫌悪の相俟った樹里の視線が充に注がれる。
 充は笑顔でそれを受け止めた。
「換えたわけじゃないさ。旅行中の彼女とも、ちゃんとつき合ってる。今日デートするのは、前の彼女」
「それ、世間一般では二股って言うんじゃない? じゃなきゃ、浮気よ」
 水柯は白い目で充を眺めた。
 充の自由奔放な女性関係にはほとほと呆れてしまう。
「どっちでもいいよ。二人とも俺のことが好きだっていうんだからさ。向こうが勝手に好きになったんだ。俺のことが許せないなら、向こうから勝手に別れてくれればいい」
「そんなこと、あっさり笑顔で言われてもねぇ……。今の彼女のこと好きじゃないの?」
「好きだよ。つき合ってる子、みんなね」
 充は笑顔を絶やさずにサラリと告げる。
 水柯と樹里の口から同時に溜息が洩れた。
「充くんは、すぐはぐらかすんだから」
「あまり悪行重ねるなよ」
「あっ、樹里には言われたくないな。何せ、水柯ちゃんによると同レベルだからね。俺とおまえの女泣かせは。――じゃ、また明日な。おっと、直杉もな!」
 充は少し離れた席にいる直杉に向かって片手を振ると、そのまま猛ダッシュで教室を飛び出していった。


 
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2009.05.22 / Top↑
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