ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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「……ギルバード・アーナス・エルロラ」
 ラパスが吟味するような口調でアーナスの名前を口ずさむ。
「烈光の女神――か」
「無駄口を叩いている暇があるなら、己れの身を案じた方がいいぞ、ラパス!」
 アーナスは不快げに眉をひそめてから馬の腹を蹴った。
 片手に持つローラを大きく振り上げる。
 渾身の力を込めて、ラパスに向けて叩きつけた。
 ガシャーンッッ! 
 激しく火花が散る。
 ラパスの剣がローラをしっかりと受け止めたのだ。
「女の力では、この剣は弾けぬな」
「ほざけっ!」
 剣と剣の隙間から二人は睨み合った。
「力だけが勝敗を決するわけではないっ!」
 叫びながら、アーナスは手綱を操っていた手もローラの柄に添えた。
「ローラ!」
 鋭い叫びと共に、ローラの刀身が眩い冷光を放つ。
 アーナスは青い閃光を纏ったローラを一度引き戻し、それから再度振り下ろした。
 ガキンッッ! 
 華々しい金属音。
 ラパスの身体が弾かれたように宙を舞った。
 馬上から地面に叩きつけられる寸前、彼は黒いマントを翻し、鮮やかに着地した。
「青い雷――エルロラの宝刀『ローラ』か」
 ラパスが馬上のアーナスを見上げて、感嘆したように呟く。
 何処か嬉しそうな響きが含まれている。
「だが――」
 不意に、ラパスの顔に不敵な笑みが刻まれた。
「神から宝刀を授かったのは、おまえだけではないぞ!」
 次の瞬間、ラパスはアーナス目がけて疾駆していた。
 ラパスの剣がボウッと黒い光を宿す。
「何っ!?」
 アーナスは驚愕に目を瞠った。
 鈍い衝撃が全身を伝う。
 ヒヒーンッッ!
 馬の悲痛な嘶き。
 ラパスが、アーナスの愛馬の四肢を瞬く間に斬り落としたのだ。
「まさか、その剣――?」
 アーナスは馬が地面に崩れ落ちる直前、軽やかに後ろに跳び去っていた。
 倒れる馬を避けて、素早くラパスの後ろに回り込む。
 ローラをラパスの頸動脈へと繰り出した。
 ガキッ!
 間一髪、振り向いたラパスが己れの剣でローラを受け流した。
 双方同時に後退し、一定の距離を開ける。
「――その剣……」
 アーナスは忌々しげにラパスの剣を見遣った。
 神の霊力を放っているローラを二度も躱わすとは、信じられない出来事だ。
 ラパスが持つ剣も尋常ではないことを示している。
 神の剣に対抗できるのは、同じ神の剣だけだ……。
 ラパスの剣は禍々しい黒き光を宿している。
「貴様……! 貴様、邪神シリアに魂を売ったのかっ!?」
 アーナスは、胸に込み上げてきた激しい怒りのままに鋭い叫びを放った。



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2009.06.16 / Top↑
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