ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 城門の崩壊により、レイ城は瞬く間に殺戮の海と化していた。
 暗黒のカシミア軍団とキール・イタール同盟軍の生死を懸けた死闘が、城の随所で繰り広げられている。
「ラパァァァァスッッ!」
 襲いかかってくるカシミア兵を一刀両断のもとに斬り捨てながら、アーナスはラパスの姿を求めて城内を駆け巡っていた。
 その隣には、影のように彼女に寄り添い、彼女を護る夫――ミロの姿がある。
「ラパスッ! 私は此処だ! 私の首が欲しければ出てこいっ」
 グシャッ!
 血飛沫が舞い、カシミア兵が吹き飛ぶ。
 神剣ローラがなくとも、アーナスの剣技に鈍りはない。
 一介の兵士では、アーナスの剣を躱わすことは不可能に近かった。
「アーナス、広間に出るぞっ!」
 ミロが突進してくるカシミア兵の頸動脈を切り裂きながら、注意を促すように声を荒げる。
 目の前に広がる巨大なアーチは、城門に最も近い大広間への入口だった。
「カシミア王旗だっ!」
 行く手を阻もうとするカシミア兵を次々と地獄へ堕としながら、アーナスとミロは確実に広間へと迫ってゆく。
 広間の入口まで辿り着いた瞬間、アーナスは見覚えのある旗を、その視界に認めた。
 黄金の刺繍でカシミア王家の紋章を刻印してある、漆黒の旗。
 紛れもなくカシミア王旗だ。
 憎き印が、相対する向こう側の入口付近に図々しくも立てられていた。
「ラパスが近いっ!」
 アーナスの鼓動は否が応にも速まった。
「どけっ!」
 向かってきたカシミア兵の剣を刀身で受け止め、力任せに弾き返す。
 ――近くにラパスが……ラパスがいる! この手で打ち倒さなければならない、悪魔の化身がいる!
 アーナスは挑むような眼差しで、前方の王旗を睨めつけた。
「ミロッ!」
「アーナス――!」
 アーナスとミロは素早く視線を交わし合い、夥しい数のカシミア兵の間を縫うようにして、大広間へと駆け込んだ。



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2009.06.20 / Top↑
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