ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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「ギルバード・アーナスだ!」
「黄金の闘神が来たぞ」
「陛下を御護りしろっ!」
 大広間に集っていたカシミア兵たちがアーナスの姿を発見して、畏怖するように様々な叫びを飛ばす。
 数では圧倒的に自分たちが有利だと解っていてもなお、黄金の髪を振り乱し、神から授かった剣を自在に操るアーナスの姿は、カシミア軍にとって脅威以外の何ものでもないらしい。
「イタール王子もいるぞっ!」
「第三王子だっ!」
「陛下に仇なす、不届き者めらがぁっ!」
「ギルバード・アーナス共々、殺せぇっ!」
「殺せ、殺せ、殺せぇぇっっ!」
 剣や槍を手にしたカシミア兵たちが、殺気立った獣の形相で迫り来る。
「殿下とアーナス様を御護りしろ!」
「カシミア兵をお二人に近付けるなっ!」
 アーナスとミロについてきたイタール兵たちが、唯一の希望を死守しようというように果敢にカシミア軍に挑みかかる。
 大広間は、すぐに人と人が入り乱れた混戦の場と変貌した。
「ラパスッ! ラパァァァスッッ!」
 アーナスは執拗に自分を狙ってくるカシミア兵と応戦を繰り返しながら、粘り強く王旗を目指した。
「死ねぇぇぃぃっっ!」
 血走った目のカシミア兵が、アーナスの左側から飛び出してくる。
「アーナスッ!」
 ガッ! カシャーンッ!
 ミロが素早くそちらへ回り込み、カシミア兵の剣を手から弾き飛ばす。
 すかさず彼は両手で剣を振り下ろし、カシミア兵の肩から胴までを斜めに叩き斬った。
「アーナス、行けっ! ラパスの元へ」
 ミロが、自らの血と敵の血に彩られた顔で鋭くアーナスを振り返る。
「ミロッ!」
 アーナスは剣を水平に薙ぎり、カシミア兵の胴を真っ二つに分断しながら、目だけでミロを見返した。
「援護する。行け、アーナスッ!」
 ミロが急き立てるように叫ぶ。
 アーナスは無言で頷き、地を蹴るようにして跳躍した。
「たぁぁぁぁっっっ!」
 目障りなカシミア兵の心臓を、勢いを利用して一突きにする。
 アーナスが兵士の遺体を蹴りつけ、剣を引き抜こうとした時――
「ギルバード・アーナス!」
「覚悟っっっっ!!」
 アーナスの前後で恨みの籠った絶叫が迸った。
「アーナス!」
 逸速く異変に気づいたミロが、敏捷にアーナスへ駆け寄る。
「な、何っ?」
 アーナスは自分に向けられる凄まじい殺気に目を見開いた。
 剣の刀身は、まだ死んだ男の胸に突き刺さっている……。
「アーナスッ!」
 唐突にミロの力強い腕が、アーナスの腕を強引に横に引いた。
 シュッ!
 ミロの手から勢いよく剣が放たれる。
「ぐぎゃあっっっっっ!」
 奇怪な叫びをあげて、アーナスを背後から狙っていたカシミア兵が床に倒れた。
 ミロの投じた剣が、見事眉間を貫いたのだ。
 それより、ほんの僅かに遅れて――
 ドンッ!
 掴まれたミロの腕から、鈍い衝撃がアーナスに伝わってきた。
「ぐっ……」
 ミロの小さな苦悶の声。
「――あっ……!」
 アーナスは我が目を疑った。
 目の前で鮮血が飛び散り、華を咲かす。
 ピシャ、とアーナスの頬を血の欠片が打った。



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2009.06.20 / Top↑
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