ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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「愚かな……。何故、ローラの力を解放せぬ?」
 ラパスが突進してくるアーナスに侮蔑の眼差しを注いでくる。
「闇の女神よ、我に力を!」
 ザハークの刀身が漆黒の輝きを帯びる。
 転瞬、ラパスがザハークを軽く振った。
 ザハークの刀身から黒き光の塊が飛び出し、アーナスを襲撃する。
「ハアッ!」
 アーナスは、紙一重で魔光と正面衝突するのを躱わした。
 ドオォォォォンッ!
 魔光が背後の壁にぶつかり、四散する。
「――ぐうっっっ……!」
 ズキンッ! と左肩に熱く重い痛みが走った。
 魔光を完全に回避できたわけではない。
 肩を掠めた魔光が肉を抉っていったのだ。
 それでもアーナスはミロの首を放さなかった。
「うおぉぉぉぉっっっっ!」
 骨が剥き出しになり、血が泉のように溢れ出す肩に力を込め、意地でもミロの首を放すまいと強く抱き寄せる。
「……ラパス! ラパァァァァァスッッ!!」
 アーナスは病む肩の傷を堪え、再びラパスに立ち向かった。
「何故、ローラを使役せぬ? そんなにエルロラ神の力を借りるのは嫌か?」
 ラパスは不快に眉根を顰め、アーナスを睨めつけた。
「おまえは……底無しの愚か者だ、ギルバード・アーナス」
 ラパスがザハークを水平に構えた。
 黒き光が魔剣の刀身に結集し始める。
「闇の女神シリアよ、今こそ我に力を与えよ!」
 ザハークの刀身を螺旋状に暗黒の光が取り巻く。
「たあぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!」
 アーナスは一心にラパスだけを見つめ、跳躍した。
 ――私が、殺さねばっ……!
 大きく剣を振り上げる。
 ――私が殺さねば、誰がやるのだ?
 全ての余力を注ぐようにしてアーナスは柄を握り締め、剣を振り下ろした。
「闇よ、切り裂けっ!」
 ラパスが呪を紡ぎ、ザハークを下から上へと跳ね上げた。
 アーナスの胸から胴に黒き光が走り、一瞬遅れて鮮血が噴き上がる。
 それさえも歯牙にかけず、
「うおぉぉぉぉぉぉっっっっ!!」
 アーナスは剣を振り下ろし続けた。
 ガキンッ!
 魔光の力に耐え切れず、剣が真っ二つに折れる。
「ザハークッ!」
 ラパスは武器を失ったアーナスに向けて、微塵の躊躇もなくザハークを振るった。
 ザハークの刀身から無数の黒き光が打ち出され、アーナスの身体を貫く。
「――――!?」
 アーナスは全身を灼き尽くすような痛みを感じた。
 身体が魔光の凄絶な力によって吹き飛ばされる。
 ガツンッ! ドカッッッ! 
 アーナスの身体は大広間の柱の一つに直撃し、反動で床に叩きつけられた。
 身体の各所で骨が軋み、折れ、内臓に突き刺さる。
「ぐっっっっ……」
 俯せに床に倒れながら、アーナスは口から大量の血を吐き出した。
 自分の身体が幾多もの傷を負い、そこから夥しい量の血液が放出されているのを朧に感じた。
 全身が鉛のように重い。
「その剣、ローラではなかったのだな」
 ラパスの声が遙か頭上で聞こえる。
「……ラ……パ……ス……」
 ――斃さなければ! 殺さなければ!
 アーナスは激痛を発する四肢を奮い立たせ、懸命に起き上がろうと試みた。
「立つな、ギルバード・アーナス」
 妙に痛切なラパスの声が、直接脳に響いてくるようだった。
「……痛っ……ぐっ!」
 再度アーナスは吐血した。



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2009.06.20 / Top↑
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