ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 ジャングルを飛び出す。
 僅かに遅れて、胸の辺りで甲高い電子音が鳴り響いた。
 そのけたたましい音を無視し、ミシェルは着地と同時に銃を構え直した。
 素早く四方に視線を巡らせる。
 カケルとラギが砂浜に出てくるのを確認してから、ミシェルは銃口を大揺れする茂みへ向けた。
 間髪空けず、密林からエアバイクが躍り出てくる。
 ディス人の第三の目がミシェルを発見し、ギョロリと動いた。
 その第三の目に狙いを定め、トリガーを引く。
 発射されるレーザー。
 しかし、敵は寸でのところでそれを躱わした。
 苛立ちに舌打ちを鳴らし、態勢を立て直す。
 エアバイクが、エンジン音を轟かせながらミシェルに肉迫した。
「ミシェル!」
 カケルの緊迫した叫び。
 一瞬後、ミシェルを襲おうとしたディス人はエアバイク上から姿を消した。カケルの放った光弾が命中したのだ。
 持ち主を失ったバイクが、バランスを崩しながら吹っ飛んでくる。
 ミシェルは脚に力を込め、砂を蹴った。
 辛うじてバイクとの正面衝突を免れる。
 ミシェルの脇を失速しながらエアバイクが通過した。
 ミシェルは、そのバイクに向かって駆け出した。
 柔らかい砂の感触に、再び舌打ちする。足場が悪い。それでも懸命に助走し、跳躍した。
 バイクに飛び乗り、片手でハンドルを握る。
「わたしが敵を引きつけます。二人はスクルドへ戻って下さい!」
「このっ、バカ補佐官が! おまえを置いて帰れるか!」
 ディス人と攻防を繰り返しているカケルが、銃を連射しながら怒声を放つ。
「オレたち、これでも百戦錬磨の軍人なんだけどね。艦隊戦・銃撃戦・白兵戦――何でもお手の物さ!」
 軽口を叩きながら、ラギが鮮やかなガン捌きでディス人たちを迎え撃つ。
 真摯な二人の姿を見て、ミシェルは驚き、次に感動した。
 ものぐさ隊長とお気楽船長が本気を出している姿など初めて見た。
 もう二度と見られない貴重な場面かもしれない。
 それに、カケルの言葉だ。
 ミシェルを置き去りにできない――確かに、彼はそう言ってくれたのだ。
 ――クリスの言葉は真実なのかもね。
 自然と口元に笑みが浮かんだ。
「解りました。じゃあ、三人ほど引き受けます!」
 意気揚々と叫び、エアバイクを旋回させる。
 補佐官想いのマスターを何としてでも護らなければならなかった。
 ディス人の数は十人ほどに減っている。エアバイクで縦横無尽に飛び回るディス人たち目がけ、ミシェルは突っ込んだ。
 接触しないように細心の注意を払いながら、ディス人たちの間を挑発するように飛ぶ。
 何人かのディス人が忌々しげにミシェルを睨んだ。かなり怒っているようだ。
 それを確認すると、ミシェルはエアバイクを海の方へと転じ、アクセルを全開にした。
 海上へ移ってから後方を確認すると、四人のディス人がミシェルの後を追走していた。
 とりあえず、カケルたちから引き離すことには成功したらしい。
 ミシェルは内心でほくそ笑むと、バイクを自動操縦に切り換え、身体ごと後ろを振り向いた。
 両手に銃を構え、追跡者たちを狙撃する。
 二人のディス人が銃弾に倒れた。
 激しい水飛沫を上げて、バイクごと海面に衝突する。
 残りの二人がスピードを上げて迫ってきた。
 相手の銃から射出されたレーザーが、ミシェルのすぐ傍を凄まじい速度で抜けてゆく。
 ミシェルは怯まずに迎撃した。
 一人が腕を負傷し、エアバイクから転落する。
 豪快な飛沫が散った瞬間、最後の一人に狙いを定めてトリガーを引き絞った。
 だが、光弾は発射されない。
「うそっ……!?」
 ミシェルは焦り、何度も何度もトリガーを引いた。
 しかし、銃に変化はない。
 ――エネルギー切れだわ!
 予備のカートリッジは持ち合わせていない。辺境調査に来て、激戦を経験するとは想像すらしていなかったのだ。
 ミシェルは、迫り来るディス人を鋭い眼差しで見遣った。
 何故か敵も発砲してこない。
 ミシェル同様、相手もエネルギー切れなのだ。
 突如として、敵は銃を海へ投げ捨てると両手でハンドルを握った。
「ちょっと何のつもりよ? 素手で殴り合いでもしようっていうの?」
 恐ろしいほどのスピードで敵は追い上げてくる。
 ミシェルは慌てて銃を手放した。
 正面に向き直り、自動操縦を手動に切り換える。
 ハンドルを握った直後、凄まじい衝撃がミシェルを襲った。
 敵がエアバイクごと突っ込んできたのだ。
 そうと悟った時には、ミシェルの身体は宙に放り出されていた。



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2009.06.21 / Top↑
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