ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 カケルたちを乗せたエアバイクが視界から消えると、クリスがゆっくりとミシェルを振り返った。
「さて、死体を隠しましょうか」
「そうね。エア・バイクごとジャングルに隠蔽するのが手っ取り早いかしら?」
「ええ。海辺よりは発見されにくいはずです」
 ミシェルとクリスは頷き合うと、それぞれ近場にあるディス人の遺体へ駆け寄った。
 遺体の衣服を調べ、ミスミを狙う原因が記されているものがないかチェックする。
 何もないことが判明すると、遺体を両手で引っ張り、ジャングルへと移動させる。
 草木で姿を覆い隠し、また浜辺へと戻る。
 不愉快な作業だが、ミシェルもクリスも黙々と己れの役割を果たした。
 こんな拓けた場所に遺体を転がしておくわけにはいかない。彼らの仲間がこの惨状を見れば、すぐにスクルドの存在は知れてしまうだろう。
 四体目の服を検めていたところで、ミシェルは上着の内ポケットに小型コンピュータを発見した。
 これまでの三体には無かったものだ。もしかしたら、このディス人がリーダーだったのかもしれない。
「クリス!」
 ミシェルはコンピュータを手に取り、それをクリスに向かって振ってみせた。
 すぐにクリスが駆けてくる。
「コンピュータを見つけたわ」
「作動しますか?」
 クリスが屈み込み、ミシェルの手からコンピュータを受け取る。彼は、しばらく色々なキーを叩いたりしていたが、やがて諦めたように小さく息を吐いた。
「壊れています。――でも、挿入されているディスクは取り出せますね」
 スロットから薄っぺらいディスクを取り出し、クリスはミシェルに渡した。二センチ四方の超小型ディスクだ。
「何かしら、コレ。光磁気ディスクかな?」
 ディスクを眺めながら、ミシェルは首を捻った。
 ディスクのラベルには何の表示もない。
 ディスク本体の端にメーカーの商標らしきロゴが記されているが、それはミシェルの読める文字ではなかった。
「スクルドに持ち帰りましょう。読み込み可能なマシンがあるかもしれません。文字は翻訳機にかければ何とかなるでしょう」
「そうね。コレに、ディス人がアクア人を狙う理由が記されてたら万々歳ね」
 楽観的に述べ、ミシェルはディスクを制服のポケットにしまった。
「作業に戻ります」
 クリスが立ち上がり、身を翻す。
 その背にミシェルは視線を投げた。
「ねえ、身体は大丈夫なの?」
「大したことはありません」
 ミシェルを顧みずに淡々と応え、クリスは持ち場へ戻ってゆく。
 ――ホントに平気なのかしら?
 毅然としたクリスの態度を見ている限り、高熱があるようには見えない。
 だが、体調が悪くても頑なに平然を貫き通すのが、クリスという人物なのだ。彼の言葉を額面通りに受け取ってはいけない。
 ――胸糞の悪い作業をさっさと終わらせて、スクルドに連れ帰るべきね。
 結論を出し、気を引き締め直す。
 転瞬、視界の端を何かがよぎった。
 破損したエアバイクの影で、何かが蠢いたような気がしたのだ。
 直感が警告する――危険だ。
 脳裏で警戒信号が点滅した瞬間、聞き慣れない爆音が響いた。
 ほぼ同時に、クリスの顔が凍りつく。
 彼の左肩から血の華が飛び散った。



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2009.06.22 / Top↑
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