ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 ミスミは何故、ブリッジを離れたのだろう?
 答の出ない疑問が、頭の中をグルグルと巡る。
 ミシェルに何も言わずにブリッジから消えた彼のことが、とてつもなく気に懸かった。
 何か訳があってブリッジを降りたのだろうが、その理由というものが皆目見当もつかない。
 スクルドの船内には、民間人が溢れ返っている。その中からミスミを捜すのは至難の業だ。しかし、捜し出さなければならない。
 ミシェルは、人々の合間を縫うようにして船内を駆け続けた。
 第二ゲート付近のホールに到着した時、そこにはまだドクター・イブリスの姿があった。彼女は負傷した人々の手当てに集中している。
「ドクター・イブリス!」
 邪魔をしてはいけない、と思いつつもミシェルは彼女に声をかけていた。ミスミがここを通ったのならば、イブリスが彼の姿を目撃している可能性がある。
「ミスミを見ませんでしたか?」
「さっき見たわよ。珍しく怖い顔をしてたから、どうしたのかと思って声をかけたんだけど、見事に無視されちゃったわね」
「彼、ここを通ったんですね?」
 怖い顔――そんなに思い詰めた顔をして、ミスミは何処へ向かおうとしていたのだろうか……。
 不安が胸をよぎる。
「娯楽エリアの方へ向かったみたいよ」
「娯楽エリア? 解りました。ありがとうございます!」
 ミシェルは早口で礼を述べ、娯楽エリアのある方角へ足を向けた。
 途中、離陸のアナウンスが船内に響き渡る。
 全ての出航準備が整い、スクルドは宇宙への飛翔を開始したのだ。
 ――急がなきゃ!
 ミシェルは無性にそう思った。
 強い焦りがジワジワと胸に込み上げてくる。
 娯楽エリアを目指すミスミの目的が解せない。
 娯楽エリアには避難してきた民間人が収容されているだけだ。他に特別なことなど何もないはずだ。
 ミシェルには、ミスミが娯楽エリアへ向かったとは到底思えなかった。
「――違う。娯楽エリアじゃないわ」
 娯楽エリアを目前にして、ミシェルは唐突に足を止めた。
 目の前の通路は二手に分かれている。
 一つは娯楽エリアへ通じる大きな通路。
 もう一つは、外界へと続く細長い通路だ。
 突き当たりには、手動で開けられる小さなゲートが存在している。
 惑星アクアに到着した日、自分とクリスが密かに使用した扉だ。
「まさか……外を目指してるの?」
 ミシェルは己れの想像にギョッとし、細い通路の奥を凝視した。
 ――地球に降りようとしてるんだわ!
 突如として、ミシェルの脳裏にそんな結論が閃いた。
 根拠のない推測だが、それ以外の答えを見つけることはできなかった。
 ミスミは何らかの目的を持ち、外界へ出ようとしている。
 地球へ戻ろうとしているのだ。
 そう確信した瞬間、ミシェルは床を蹴るようにして駆け出していた。
 ――ミスミ、お願いだから、バカなことは考えないで!



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2009.06.24 / Top↑
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