ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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Ⅳ.天魔狂宴



 異形のものたちが、雪と共に天空を埋め尽くしていた。
 吹雪に紛れ、無数の怪物が宙を舞っている。
 武器を携えた様々な異形のものが、桔梗屋敷を取り囲んでいた。
 冬子は訳も解らず、茫然と異様な空の光景を眺めていた。
 何だか知らないが、あの集団が桔梗屋敷に敵愾心を抱いているのは、殺気立った雰囲気から察することができる。
 操の言葉が正しければ、あれは――悪魔だ。
 今、自分たちは悪魔の集団に襲われようとしているのだ。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!」
 把握した途端、冬子の口からは絶叫が迸っていた。
 同時に全身の力が一気に抜け落ちる。
 情けなくも、冬子は地面にへたり込んでいた。
 あまりの驚愕と恐怖に、腰が抜けたのだ。
 ――逃げなきゃ……。
 力が入らず動けぬ身体。
 恐ろしさのあまり、双眸には涙が滲んでいる。
 それでも冬子は本能的に『逃げなければ』と感じていた。
 逃げなければ――殺される。
 悪い夢だと思いたいが、天に蠢く無数の悪魔は妙にリアルだった。
 認めたくないけど、これは現実なのだ。
「……み、み……みさ……くん……」
 涙に濡れた瞳で、冬子は操を見つめた。
 操を置いて一人だけ逃げるわけにはいかない。
 それは、冬子の高く強気な矜持が赦さない。
「み、操くんっ! 逃げるわよ!」
 立たぬ腰に力を込めるようにして、冬子は懸命に操の名を叫んだ。
 操が冬子を振り返り、ニヤッと余裕の笑みを浮かべる。
 その態度には驚きや畏れは微塵もない。
「逃げる? 腰が抜けて立てない女のセリフじゃないだろ。――まあ、見てなって」
 冬子の狼狽を歯牙にもかけず、操は頭上の悪魔たちに視線を戻してしまうのだ。
「ようこそ、桔梗屋敷へ。悪魔の下の下の下――ザコ悪魔ども」
 挑発するような言葉を放ち、操が唇を歪める。
 転瞬、奇怪な獣の咆吼が天に響き、数匹の悪魔が物凄い速度で降下してきた。



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2009.07.01 / Top↑
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