ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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Ⅷ.ソロモンの剣



 相変わらずの猛暑が続く、ある日――
 冬子は、桔梗屋敷に宮森早紀を招いていた。両親の初七日を無事に終えた翌日のことである。
 遺産目当てで自分を引き取ろうと申し出た親戚たちの全てを鄭重に断り、冬子は桔梗屋敷に住むことを決意した。
 その旨を電話で早紀に告げた際、いつの間にか話がそういう方向に流れていたのである。
 雅はあまり良い顔をしなかったが、結局は力説する冬子に折れ、早紀の訪問を容認してくれたのだ。
「それにしても、広い屋敷よねぇ。わたし、色々と見て回りたいわ」
 早紀が好奇心に輝く眼差しで、冬子を見つめてくる。
 冬子は早紀を真っ先に自室へと案内していた。早紀の訪問を快く思っていない雅の機嫌をこれ以上損ねたくなかったし、他の住人たちのことも配慮すると、私室に籠もるのが最良だと考えたのだ。
 だが、初めて屋敷を訪れる早紀は、冬子の部屋だけで時を過ごすのは不満のようだった。
 不満というよりも、屋敷に対する興味心の方が強いのかもしれない。
「そうね。ちょっとだけならいいわよ」
 冬子は苦笑で応じ、早紀を促すように立ち上がった。
「ありがと、冬子!」
 早紀が嬉しそうに冬子の後に続く。
「あんまりはしゃがないでよ。まだ寝ている人とかいるんだから」
 軽く忠告し、ドアを開ける。
 今は夕刻――そろそろ木蓮が起きてくる頃だが、セイは完全に日が沈むまで起きてきた例しがない。
 セイの寝起きの悪さは天下一品だ。
 寝起きの彼は、雅に劣らないほど機嫌が悪いのだ。
 屋敷を徘徊するのは構わないが、安眠を妨げることだけは避けたかった。
「はいはい。――こんな広い屋敷を探検できるなんて、ちょっとドキドキするわね。何か素敵な発見が待っていそうな気がするわ」
 早紀が童心に返ったように無邪気に微笑む。
「ハハッ。素敵な発見ねぇ……」
 ――悪魔に遭遇する確率だけは、異常に高いわよ。
 楽しそうな早紀に味気ない相槌を打ち、冬子は心の中で一人苦笑いした。



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2009.07.05 / Top↑
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