ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 開け放たれた扉から室内に足を踏み入れた途端、アイラは衝撃に目を瞠った。
 玉座にはラパスが悠然と腰かけている。
 そのラパスの眼前――円卓に座する五人の人物を見た瞬間、アイラは己れの身体が硬直するのを感じた。
「殿下……!」
 ひどく懐かしい声がアイラを呼ぶ。
「……王子!」
「アイラ殿下――」
 自分に注がれる五対の熱い眼差しに、アイラは恟然とした。
 自然と唇が震えを帯びる。
「アーナス……。まだ私に生きろ、と――?」
 誰にも聞こえぬような小さな声で、アイラは妹の名を口ずさんだ。
「あ、あ……アイラ――殿下。み、皆の者、殿下の御前ぞ!」
 呆けたように呟き、慌てて床に跪いたのは、キールの副宰相であったレンボスだ。
 レンボスに倣うように他の四人も床に膝を着き、深々と頭を垂れる。
 その光景に、ラパスが愉快そうにクックッと喉を鳴らした。
 アイラは幽霊でも見るような目つきで、平伏した五人の男たちを見下ろした。
 かつての家臣が、敵国カシミアで自分の前に傅いている。
 何とも奇妙な光景だった。
 予期せぬ展開だ。
 アイラは全身を雷で貫かれたように、その場にから動けなかった。



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2009.07.06 / Top↑
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