ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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「――透、あれからどうしたかな? 電話してみるか」
 木戸雅人は、アパートの一室でテレビを観ながら切り分けた西瓜を口にしていた。
 一昨日『一人じゃ食べきれないから』と鷹野透が分けてくれた西瓜だ。
 木戸は西瓜を片手に、シェル形式携帯を開いた。
 アドレス帳から透の番号を選出したところで、
『お昼のニュースの時間です――』
 テレビの音声が硬質なものへと移行した。
 ちょうど十二時。
 午後のニュース時間だった。
『今朝未明、中野区○○町にあるマンションの一室で、若い男女の変死体が発見されました』
「――――!?」
 木戸はハッと目を瞠り、テレビ画面を見遣った。
 その住所には聞き覚えがある。
 鷹野透が恋人のユイと一緒に住んでいるマンションが、確か中野区のその辺りに存在していたはずだ。
『亡くなったのは、銀行員の楠本ユイさん、楠本さんと同居していたと思われる大学生・鷹野透さんの二名です。二人の体内から大量の西瓜の種が検出されたことから、死因は窒息死ではないかと推測されていますが、詳細は未だ不明。警察では――』
 テレビの中では男性アナウンサーが真顔で報道を続けている。
 画面に釘付けになった木戸の手から携帯電話が滑り落ちた。
 木戸は、口に含んだ西瓜の果肉を種ごとゴクンと呑み込んだ。
 呑みそびれた黒い粒が一つ、唇の端から零れ、床に不吉な種を蒔いた――



                           《了》



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2009.07.13 / Top↑
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