ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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「零治を返せ!」
 遠くで有馬美人の声が聞こえる。
 黒井薔薇子はうっすらと瞳を開けた。
 俯せになっている全身がキシキシと痛む。
 だが、動けないほどではなかった。
 境王に攻撃されたダメージの回復は思ったより早い。
 顔を上げ、美人と境王の所在を捜す。
 二人は、剣を交えたまま微動だにしない。
 金と青のオーラが攻防を繰り返している。
 僅かだが金の勢いが強い。
 ――いけない。有馬くんを助けなければ。
 焦る薔薇子の目にある物が映った。
 それは、境王――零治の首から覗く金のネックレス。
 零治は、自分の忠告をちゃんと聞き入れてくれていたのだ。
 自然と笑いが込み上げてきた。
 ――勝てる。
 幸い、境王も美人も精神エネルギーのコントロールに集中していて、自分が意識を取り戻したことに全く気がついていない。
 薔薇子は全身の痛みを堪えながら、自ら左手首を歯で噛み切った。
 ポタポタ……と赤い液体が流れ出す。
 もっと流れろ。
 そして、境王の元へ――
 大理石の床を流れる血液に向かって命令する。
 血液は彼女の分身だ。自ら意思を持って行動する。
 体内に血がある限り、彼女は封魔師としての力を発揮することができるのだ。
 ――境王へ届け。
 血液は、確実に境王へと向かって行く。
 境王は美人だけを目にしているので、それを知らない。
 境王の足下に血液が届いた。
 ニヤリ。
 再び薔薇子の唇に笑みが浮かぶ。
 艶冶とした微笑みだ。
「……封魔師・黒井薔薇子の名に於いて命ずる――生血をもって魔を戒めよ……」
 境王の身体に異変が起こった。


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2009.07.21 / Top↑
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