ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 M市の中心部――聖華学園に通じる大通りをシルバーのポルシェが軽快に走っていた。
 運転席でハンドルを握るのは、胸元の大きく開いたワンピースを身に纏った美女である。
 彼女はブルーのエナメルが輝く細い指を伸ばして、何気なくカーラジオのスイッチを入れた。
『関東一円では、夜半から明け方にかけて雨になる模様です――』
 天気予報を告げるアナウンサーの声が車内に流れる。
「アラ、雨ですって」
 朱塗りの唇が艶めかしく動き、女の視線がチラと助手席を掠める。
 助手席に身を預けているのは、華々しい顔立ちの少年だ。
「へえ、雨ねぇ」
 少年――園田充は気のない相槌を打った。
 時刻は午後八時に近い。
 放課後、学園を飛び出した充は、年上の彼女――由香里のポルシェに正門前から堂々と乗り込んだ。
 由香里の買い物につき合い、食事の席で充のマンションへ向かうことが決定され、現在に至る。
 充が一人暮らしをしているマンションは、聖華学園から徒歩五分ほどの場所に位置していた。
 必然的に、学園前の通りがマンションへの最短ルートとなる。
「やっぱり、この辺で降ろして」
 聖華学園の長い塀に差し掛かったところで、不意に充は告げた。
「今夜は泊まっても平気でしょう?」
「悪い。樹里がいるかもしれない」
 充は表情を崩さずに端的に応えた。
 由香里も特別顔色を変えたりはしなかった。
 無言でブレーキを踏む。
 ポルシェが停車したのは、聖華学園正門の真ん前だった。
「女には合い鍵を渡さないのに、樹里くんには渡してるのよね」
 由香里が助手席の方へ身を乗り出し、揶揄するように微笑む。
 ふと、彼女の目が充を通り越して車外へと向いた。
「真っ暗ね。どうしたの、コレ?」
 暗闇に溶け込んでいる聖華学園を見て、由香里は驚いたらしい。
 いつものこの時間なら、まだ部活動に励んでいる生徒たちがいて校舎は煌々と輝いている。
 だが、今日に限っては校舎から洩れる明かりは一つもなく、校庭の照明も全て落とされていた。
 まるで廃校のような有り様だ。
「今夜は封鎖されてるんだ」
「ふーん、おかしな学校ね」
 由香里が校舎から視線を外し、再び充を見つめる。
 唐突に、彼女の唇が充のそれに重ねられた。
「あのさ、ここ、学校の真っ正面なんだけど」
 由香里の唇が離れるのを待ってから、充は苦笑を浮かべた。
「封鎖されてるんでしょ。誰も来ないわよ。部屋に行けないのなら、ここで……。ちょっとスリリングじゃない」
 由香里が助手席のシートを倒しながら、充の膝に乗り上がってくる。
「誰も来ないのにスリリングなのか?」
「細かいことは気にしないの」
 由香里が微笑み、再度口づけてくる。
 細い指が、巧妙に充の制服のボタンを外し始める。
 充は彼女の好きなようにさせていた。
 特に断る理由もない。
 あっという間にボタンが全て外され、由香里の唇が首筋に埋められた。



 
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2009.05.28 / Top↑
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