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ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です
Thu
2009.08.13[08:52]
BREAK1



「あたし、やっぱり降ります」
 白羽美麗の凛然とした宣言が室内に響いた。
 三対の鋭い眼差しが美麗に集中する。
「怖じ気づいたのかい、白羽君?」
 眉間に皺を寄せ、美麗に質問を繰り出したのは和泉田悠南である。
 放課後の生徒会室――集っているメンバーは、当然生徒会役員だ。
「違います。納得できないんです。いくら会長のお父様の依頼でも変ですよ」
「でも、キミも理事長代理の意見に賛同したから、榊先輩に手を出したんだろ」
 蔑むような視線を美麗に送ったのは、会計を務める有原樹生だ。
「あたしは祇園寺先輩が好きで、確かに……榊先輩のことを疎ましく思ってたわ。榊先輩が祇園寺先輩の傍から――学園からいなくなればいいと心の底から思いもしたわよ」
「だが、探りを入れてみて考えを翻した、と」
 冷淡に告げたのは生徒会書記――毛利さゆみである。
 彼女はショーットカットの髪を片手で掻き上げ、冷ややかに美麗を見つめた。
「ええ。あたし、自分で想っていた以上に祇園寺先輩のことが好きみたいなんです」
「彼の嫌がることをしたくない――そういうことかな?」
『下らない』と言いたげに、さゆみは口角を吊り上げて冷笑する。
「そういうことです」
 キッパリと断言し、美麗は出口へと身を転じた。
「白羽君、降りるのは構わない。けれど、このことは他言無用だ。多少なりとも関わったんだ。一時的にでも君は――共犯者だ」
 悠南は、銀縁眼鏡の奥から厳しい視線を美麗の背中へと注いだ。
「解ってます。理事長代理たちと生徒会の目論見は洩らしません」
 憤然と言い切り、美麗は生徒会室から出て行ってしまう。
「白羽君のことは仕方ないだろう……。毛利はどう思う?」
 悠南は溜息を一つ落とし、さゆみに視線を馳せた。
「誰が降りようと、わたしには関係ない。徳川直杉がわたしの前から消えてくれれば、それでいい」
 冷然と告げて、さゆみも外界へと出ていってしまう。
 残された悠南と樹生は、無意識に顔を見合わせていた。
「相変わらず、毛利先輩は徳川先輩のこととなると怖いですね」
「あの二人は幼稚部からの腐れ縁だからな」
「腐れ縁と言えば、会長と松本先輩だって一緒じゃないですか」
「腐れ縁じゃなく、幼なじみだ」
「そして婚約者――ですね。どうするんです? 松本先輩もリストに入ってますよ?」
「しーちゃんのことは……後で考える。それよりも、僕は紀ノ國屋健治の方を先に始末したい。あの男は目障りだ。奴がリストアップされているのは好都合。これを機に、学園から抹消してやる」
 悠南は憎悪も露わに憤然と言葉を連ね、唇を噛み締めた。
「そう言うと思いましたよ。和泉田先輩の敵は、ボクの敵です。紀ノ國屋先輩については、既に手を打っておきました」
 静かな口調で述べ、樹生は片手に持っていた紙片を顔の高さまで持ち上げた。
 紀ノ國屋健治の顔写真がまず目を引く。これは、紀ノ國屋健治についての詳細が記された機密リストなのだ。
 樹生はそれを両手に持ち、一片の躊躇もなくビリビリと破り捨てた。
「巧くいくといいですね、和泉田先輩」
 そう言いながら悠南を覗き込んでくる樹生の顔には、愉悦の笑みが閃いていた。



     「LIST.2 KENJI KINOKUNIYA」へ続く



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