ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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BREAK4



 好き。
 愛してる。
 好き、好き、好き、好き、大好き――


 彼女は、胸に溢れ出てくる想いにうっとりと瞼を閉ざした。
 恋する相手を想う気持ちは、自己陶酔に似ている。
「誰かを好きということは、こんなに切なく、苦しいものなのですわね」
 独り言ち、ゆっくりと瞳を開く。
 机の上には、ピンク色のレターセットが準備されている。
 その隣には、彼女が心奪われた相手――ある少年の写真が飾られていた。
 この写真はこっそり兄の部屋から盗んできた――いや、拝借してきた大切なものだ。
 彼女は、写真の少年に一目で恋に落ちた。
 以来、留まることを知らぬ想いに胸を悩ませ、少年への恋慕を募らせていた。
 だが、そんな悶々とした日々も明日で終わりを告げる。
 少年も彼女のことを好きなのだ。
 信頼のおける、ある筋から入ってきた情報だから間違いはない。
 両想い――彼女は少年の心が自分にあることを知り、驚喜した。
 喜びのままに愛用の万年筆を手に取る。
 万年筆は魔法の呪文のように、同じ言葉だけを繰り返し綴ってゆく。
 いつものように二〇枚目を書き終え、便箋を折り畳んで封筒に入れる。
 そこで、ふと手を止めた。
 しばし思案するように小首を傾げ、それから決意したように便箋を取り出す。
 明日は記念すべき日になるのだ。
 全てがいつもと同じでは味気も洒落っ気もない。
「好き。……大好き」
 彼女は満面の笑みを浮かべ、二一枚目の便箋を静かに机上に置いた――


     「LIST0 AKANE SAKAKI」へ続く



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2009.08.22 / Top↑
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