ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 二十一世紀後半、地球の人口は飽和状態に達した。
 人間の住める陸地に限界が訪れたのだ。
 人口密度は二十一世紀初頭の何十倍にも膨れ上がり、全世界を巻き込む居住地問題が発生したのである。
 ラグネルが生まれる遙か昔――2010年に、地上約四百キロメートルの上空に国際宇宙ステーションが完成した。
 以後、宇宙開発は目覚ましい飛躍を遂げ、人類が宇宙空間で生活を営むことができるまでに発展する。
 二十年ほど前には第五宇宙ステーションが完成し、そこでは宇宙飛行士や各方面の研究者・技術者以外にも民間人が住むことが許された。
 更に、月にはアメリカ・カナダ・ロシア・日本・欧州各国が共同開発した月面基地が造られ、火星には人類が住む環境に適したドーム状の大規模都市が建設された。人類の一部は飽和状態の地球を脱し、火星へ移住することになる。
 しかし、宇宙開発が躍進したとはいえ、地球の人口過密化が解消されたわけではない。
 宇宙へ飛び立った移民は僅かに過ぎず、地球には相変わらず人口過密に伴う居住地問題が残された。
 各国首脳は頭を抱えながら協議を繰り返し、ようやく一つの結論を導き出した。
 広い洋上に巨大人工島を建造し、そこに希望者を移住させる計画を立てたのである。
 こうして、二十一世紀末の洋上には幾つかの巨大人工島が浮かぶこととなった。
 太平洋上に浮かぶブロスリアンドも、計画に則って造られた島の一つだ。
 日本・欧州各国が共同出資したブロスリアンドの完成は、九年前の2101年。
 二十二世紀のスタートと同時だった。
 新世紀の幕開けと共に、ブロスリアンドには世界各国から移住を希望した人々が集ってきた。
 新たに事業を展開させようとする企業家、余生を静かに島で過ごそうとする老夫婦、人生をリセットするために新天地を求めてきた脛に疵を持つ者たち……。
 多種多様な人物がこの島に移り住み、島は今も入居者を受け入れ続けている。
 巨大都市ブロスリアンドを管理統括しているのは、出資国の代表者たちで構成される中央議会。
 島の住民は議会が定めた法の下に日常を営んでいる。各国の干渉を受けながらも、ブロスリアンドは一つの都市国家として自治を認められていた。
 ここは、中央議会の支配する島国なのである。
 議会の初代議長に選出されたのは、日本出身のアキラ・ウサミ氏。
 彼は、今なおブロスリアンドの頂点に立ち続けている。
 そして、その彼が私財を投じて運営していたのが、テレビで報じられている霊長類研究機関アヴィリオンなのである。
 2102年、議会の主要機関が密集する中央エリアに、その研究所は場違いのようにポツリと出現する。
 地上三十階建ての白亜の建造物。
 窓が殆どない、蚕の繭のような形をした奇妙なビルだった。



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2009.08.29 / Top↑
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