ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 Ⅲ



 白い。
 白い世界が自分を包んでいる。
 眩い光が柔らかく瞼を撫でていた。
 光に触発されて、ラグネルはゆっくりと瞼を押し上げた。
 白い輝きに満ちた世界が視界に飛び込んでくる。

 ――ワタシハ誰? 何故ココニ イルノ?

 ラグネルはゆるりと周囲を見回した。
 だが、そこには白い空間が広がっているだけだ。
 小首を傾げ、それから己の身体に視線を向ける。
 驚くべきことに一糸纏わぬ裸身だった。
 衣服の代わりに、身体の随所から無数のコードが延びている。それらがどこに繋がっているのかは判然としなかった。

 ――ワタシハ 誰?

『おはよう、ラグネル』
 突如として、光の世界に一人の青年が現れた。
 柔和な笑顔をラグネルに向けている。
『自分が誰なのか解るかい?』
『ワタシハ……ラグネル、デス』
 ラグネルは自分でも驚くことに従順に応えていた。
 青年が嬉しそうに微笑む。

 ――ミユキ・クルミザワ? ドクター・ミユキ ダ……。

 青年の顔を見つめながら、ラグネルは再び首を捻った。

 ――デモ 彼ハ死ンダ……ハズ。

『やっと目醒めてくれたのね、ラグ!』
『エレイン、そんなにはしゃぐな。ラグネルが驚いている』
 次に現れたのは、愛らしい少女と涼しげな面差しをした美青年だった。
 二人はひどく嬉しそうにラグネルの顔を覗き込んでいる。

 ――ドクター・エレイン。ドクター・アシュレイ……。

『気分はどうだい?』
 今度は別の青年が顔を覗き込んでくる。

 ――ドクター・エーリッヒ。デモ 彼モ死ンダハズ。ニュース デ 云ッテイタ。

『おはよう、ラグネル。そして、初めまして』
 更に、新たな人影が出現する。
 眼鏡をかけた青年の顔を見て、ラグネルは何故だか安堵を覚えた。

 ――ドクター・ランスロット。……初メマシテ? 彼トハ 初対面デハナイ……ハズ。

 ラグネルは、口々に挨拶をしてくる五人の博士たちを不思議そうに見回した。

 ――何カガ オカシイ。

 ――ダッテ彼ハ ワタシノ……ワタシ……ノ……。



 夢だ。


 これは夢だ。
 唐突にラグネルは悟った。
 叫びだしたい衝動に駆られる。
 
 ――コレハ 偽リノ世界ダ!

 ――ダッテ 彼ハ 死ンダノダカラ。

 ――白イ死神ニ 殺サレタノダカラ……!


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2009.09.05 / Top↑
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