ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

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 XII



「悪夢のような光景ね」
 モリガンの皮肉たっぷりの声が廊下に響く。
 議長の書斎を辞し、ガウェインたちは直ちにフレイがいるという別館に向かった。
 だが、研究室へと続く階段を駆け下り、地階に辿り着いたところで、足を止めることを余儀なくされてしまったのである。
「悪夢のような――じゃなくて、悪夢だな」
 ガラハッドが揶揄するように口の端を吊り上げる。
 ガウェインたちの目の前には、無数の博士たちが立ちはだかっていた。
 エーリッヒ。
 ランスロット。
 エレイン。
 アシュレイ――
 博士たちのヒューマノイドが通路を埋め尽くし、行く手を阻んでいるのである。
「そう何度も博士たちの顔に情を移すと思ったら、大間違いよ。あたしたちが、中央捜査局の特殊エージェントとして養成されたってこと忘れないでよね。――さっ、行くわよ、モルゴス!」
 モリガンが手近にいた偽アシュレイに蹴りを放つ。
 その瞬間、彼女の身体の輪郭が奇妙に歪んだ。
 吹き飛んだアシュレイが壁に激突する。
 同時に、モリガンの隣には彼女の分身――モルゴスが立っていた。
「わたしたちは、人殺しも厭わない冷徹なエージェントってことよ」
 モルゴスが艶笑する。彼女の手には、いつの間にかレーザーマシンガンが握られていた。ガラハッドが特殊能力で出現させたものだ。
 モルゴスは笑顔を絶やすことなく、唐突にマシンガンをぶっ放した。
 あっという間に、数体のヒューマノイドがレーザに眉間を貫かれ、床に崩れ落ちる。
 だが、廊下に溢れる博士たちの数は全く減ったようには見えない。
 新たなレプリカたちが続々とこの一角に集まってきているのだ。
「フレイの奴、どれだけ兵隊を創ったんだ?」
 ガラハッドが呆れ顔で呟く。
 彼は虚空に出現させた銃を手に取りながら、真摯な眼差しをガウェインへと向けてきた。
「とりあえず、ここは年長組に任せて、おまえたちはフレイの所へ行け」
 ガラハッドの片手が促すようにガウェインの肩を叩く。
 ガウェインは訝しさと不安の相俟った表情でガラハッドを見上げた。
「けど、ガラたちを置いて行くのは――」
「フレイの目的は大方把握した。あとはラグネルを救出するだけだ。それは、おまえに任せた。俺たちはあの醜悪なレプリカを片付ける。あんなおぞましいモノを表の世界に出すわけにはいかないからな。一体残らず、太平洋の底に跳ばしてやさるさ」
 ガラハッドの手が再び肩に添えられる。
「リガ!」
 ガウェインは慌ててリガの腕を掴んだ。
 転瞬、視界に異常が生じる。
「お姫様を奪還するのは騎士の役目だ。さあ、行ってこい」
 歪曲した視界の中で、ガラハッドが微笑む。
 肉体が空間に呑まれるような不可思議な感覚に襲われた刹那、視界が暗転した。



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2009.09.20 / Top↑
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