ファンタジー&ジュヴナイルを中心とした自作小説です

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
 星神の国シアは、新たな王を巡る星戦の開始により騒然としていた。
 国王の星を目指す強者たちが他国からも続々と流れ込んでくるおかげで、日頃は静かな街も活気づき、酒場や宿屋はかつてないほどに繁盛している。
 殊に大国アダーシャに隣接するハイトスは、アダーシャから入国してくる大量の野心家たちで飽和寸前だった。



 ハイトスの中心部――露店の立ち並ぶ大通りを、二人の女性が並んで歩いていた。
 一人は銀髪碧眼の小柄な少女。
 その背には幅広の剣がくくりつけられていた。鞘の形から、それが尖端の歪曲したサーベルだということが窺える。
 少女は、剣の重さなど微塵も感じさせない軽快な足取りで人混みを掻き分けていた。
 好奇心に溢れる眼差しは、忙しなく周囲に向けられている。
 もう一人は、波打つ豊かな黒髪と褐色の肌を持つ二十代前半と思しき女性。
 彼女は連れの少女とは対照的に、怯えを孕んだ表情を湛えていた。
「あれも駄目。これも違う。あっちも無理」
 擦れ違う人々に視線を走らせ、少女――ラナ・レイジィは落胆の溜息をついた。
 隣で黒髪のイル・アナンが小さく頷く。
「ここには、新王に相応しい方は誰一人としていませんわ。星を全く感じませんもの」
「アナンがそう言うなら、この街もハズレね」
「ですが、もう少し見て回りましょう。アダーシャから流れてくる方たちが大勢いますし」
「じゃ、手っ取り早く関所まで行っちゃおうよ。ハイトスの丘だっけ? そこで入国してくる人間を見定める方が効率がいいわ」
 レイジィは足を止め、意見を仰ぐようにアナンを見上げた。
「ええ。無闇に歩き回っても埒が明きませんものね」
「早速、移動開始ね。アナン、はぐれないように掴まって」
 レイジィはアナンに向けて腕を差し出した。
 アナンが微笑を浮かべ、レイジィの腕に手を添える。
 イル・アナンは、その左目に神の刻印を授かった時から盲目となった。
 つまり、生まれながらにして目が見えないのである。
 その代わりに彼女が得たものは《神の眼》と呼ばれる、星を強く感じ取ることのできる心眼だった。


     *



 にほんブログ村 小説ブログへ  
← NEXT
→ BACK

ブログパーツ
スポンサーサイト
2009.09.24 / Top↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。